現地までバイクで行った
NCS の次の OTB 大会であるチェスチャレンジ 3 に向けて 15+10 の練習をしたいと思っていた。
lichess のラピッド 15+10 を盤駒並べて練習してもいいのだが、やはり生の OTB と比べるとどこか張り合いがないと感じてしまうところはあった。
そこで現地までバイクで行くので私と棋力が近い方でどなたか一緒に OTB 15+10 の練習をしないかと呼びかけてみたところ YouTube でチェス配信をされている世迷いの棋士さん (以下世迷いさんと略す) が快諾してくださったので、お言葉に甘えて今日対局をお願いしたというわけだった。
事前に時間と場所に関してアポを取り、今日バイクで向かった。
行きは時間があるので下道で行き、帰りは高速で一気に帰った。
走行距離が短くても、東京を通ることになると混雑しているのでなかなか大変だ。
わざわざ場所を予約してくださっていた
別にカフェやケンタッキーのような店でも良いと思っていたのだが、ありがたいことに世迷いさんがわざわざチェスがプレイしやすい場所を予約してくださっていた。
1 時間前に到着してバイクを降りるとかっこいいバイクだねえと話しかけてきたご老人がいたので、ずっとバイク談義をしていた。
いつもは適当に切り上げるのだが、今日は暇つぶしになるからいいだろうという気持ちがあるのでいくらでも話に付き合った。
たださすがに私が相手だとそんなに話も続かないのか、しばらくして去っていかれた。
そこで時間まで施設の中で待つことにした。
施設に入った途端係員に利用用途や時間など聞かれたので、ああやっぱり東京は厳しいんだなと勝手に思った。

時間になって世迷いさんが指定の場所に来たので合流し、予約していた場所に一緒に行った。
世迷いさんは現在体調が悪いため遠くの施設に赴くことが難しく、この場所を選んだとのことだった。
私としてもバイクが停めやすい場所だったので良かった。
東京都内だと (特に NCS 大会で使われるきゅりあんなど) バイクの駐車場探しに難儀する場面も多々あるからだ。
チェスクラブの例会風に机をくっつけて 15+10 の練習対局を 3 局行った。
さすがに 2 局やった時点で結構疲れたので、雑談や棋譜検討を交えながらゆっくり過ごし、最後に 1 局やって検討して終わりとした。
実際に会った世迷いさんはいい意味でイメージが少し違ったが、喋りを聞くとまさに YouTube 配信のあの感じで安心した。
ネットチェスも良いが、やはり実際に人と会って対局する OTB は一味違う。
世迷いさんも 20 年ぶりにチェスプレイヤー (いわゆる真剣にチェスを練習している人) と OTB でチェスをプレイしたとのことで、満足いただけてよかった。
以下、棋譜と所感を貼り付けておく。
1R アレヒン・ディフェンス・フォー・ポーンズ・アタック
世迷いさんは私のことを熟知しておられるので、普通にアレヒン・ディフェンス・フォー・ポーンズ・アタックにしてくださった。
今回は 7... Bg4 型を選択。
f3 のナイトにアタックし、然るべき時にエクスチェンジし中央のポーンを破壊する構えだ。
9... Bxf3 とエクスチェンジを仕掛けたが 10. Qxf3 とクイーンテイク。
これで狙い通り中央のポーンを破壊した。
その後 11. Qxb7 と反撃されたがこれは 11... Nc2+ のフォークがあるため悪手となる。
ただ、キングが逃げたところでルークテイクに目がくらみ 12... Nxa1?? としてしまう。
このナイトは高確率で取り返されてしまうし、戦線復帰させるのも手数がかかって良くない。
それよりも 12... Nxe3 Kxe3 Bc5+ と手順にビショップを展開しつつチェックするという味がいい手のほうが良かった。
その後解析的にはまだ黒有利だが 14. Qc6+ のキャスリング放棄が読めておらず、これで黒の黒マスビショップ並びにその奥にいるルークが全く使えなくなってしまった。
その後 21... Kd8?? や 22... Ke8?? と逃げ方を間違えて負け。
22... Kc8 と相手のクイーンに近づく方向に逃げたほうが安全というのは気づきにくい。
2R カロ・カン・ディフェンス
次は私が白で世迷いさんのカロ・カン・ディフェンスを迎えうつ構えとなった。
実はカロ・カン・ディフェンスに関してはあまり詳しくなく、正直自信がなかった。
序盤はよくある滑り出しだが、カロ・カンのメインラインでよくある h4 とプッシュしていくのがあまり好きではないので、今回は実施しなかった。
9... Qa5+ が来たのでカロ・カンではよくある狙いなのかと聞いたがそんなこともないとのことだった。
ただこれで時間を使わされたというのはあって、また残り時間に注意して指す展開となった。
怖いところだがクイーンサイド・キャスリングを実施。
14. a3 に対し 14... Na6 が世迷いさんらしい切り返し。
解析的には悪手だが、このフィッシング・ポール・トラップのようなビショップは容易にテイクできない。
ただ、とりあえずナイトを守りにも使うために中央に展開してから、恐らく安全だろうと読んでビショップをテイク。
これは正しい判断だった。
駒得したので 17. Qa3! とクイーン交換を持ちかけたらなんと乗ってきた。
世迷いさんとしてはクイーン交換後にナイトを入り込んで荒らせると踏んでいたようだが、私は 19. Kb2 でナイトが死ぬのを読んで指していた。
この後お互いに時間がなくなってきて激しい乱戦になったが、何とか手堅く指して 28. Bg5+ のダブル・アタックが決め手となり、最後は黒時間切れとなった。
3R オールド・ベノニ・ディフェンス
最後は私がベノニをリクエストした。
割とベノニらしい指し回しができたように思う。
11... Bxf3 のエクスチェンジも狙い通りで、f3 のナイトを外すことにより d4 が拠点となりやすくなる。
その思惑通り進み 16... Bd4+ が拠点に入りつつチェックするという味のいい手となった。
ただ、やはり 20... Bd4?? と帰る消極的な手は悪手だった。
ここは 20... Bg3! がよく、ピンを活用して白キングにメイト・スレットを見せ、更にナイトの追撃も見せる形となっていた。
23. Rf4 あたりから黒クイーンが狭く、トラップにかけられそうな形になってしまっていた。
これはまずいと 23... Qh6 と逃げ (Qh5 はナイトの追撃がある)、ディスカバードアタックや 1 手パスには 24... Bg5 の合駒を用意した。
しかし 25. Rh4?? を指してしまい、これは丸得 (ビショップがピンされていてルークが取れないと錯覚されたのだろう)。
その後はセオリー通り駒交換を進め、最後は疲労からの凡ミスを咎め、勝利した。