子どもの頃に辛かった宿題

子どもの頃よく学校の課題で読書感想文を書かされたが、当時は原稿用紙 3 枚など埋めるのが苦痛で仕方がなく、あらすじや解説を見て「どうやって文字数を増やすか」といったところに苦労していたように思う。 今大人の感覚でこれを書いてみるとどうなるのか少し興味があったので、たまたま今読み終わったガリバー旅行記を使用して書いてみた。

1 枚の原稿用紙はフルに入れて 400 文字であるが、原稿用紙 3 枚だったとしても 1,200 文字フルに入れるわけではない。 一般的にどの程度埋めれば読書感想文として成立するのか、というところで読書感想文の書き方を参考にしてみた。 80 % 程度を埋めればいいらしい。 原稿用紙 3 枚だと 1200 * 0.8 = 960 文字以上とすればいいようだ。 960 文字というのは一般的な新聞の社説 1 つと同程度の長さで、タイピングをすると 10 分弱で打てる文字数ではあるが遂行しながら書くともっとかかりそうである。 ということで少し大変そうだな、と思いながら書いてみた。

読書感想文

この度私はジョナサン・スウィフトのガリバー旅行記を読みました。この物語は小人の国、巨人の国、浮遊する島、馬の国の 4 編に分かれています。このうち小人の国、巨人の国は割合有名な話だったように思います。私も子どもの時に紙の本で読みましたが、ある程度は内容を覚えていました。

小人の国、巨人の国の部分で面白いのは、今どちらの国にいるかで主人公の立場や振る舞い方が全く異なってしまったという点です。小人の国にいる時は主人公は普通に行動を起こすだけで人々は驚き恐れますが、巨人の国にいる時は全く小動物のようなもので見世物に使われたり、一般人が全く問題としない小さな動物や虫に命の危険を感じたりしています。私たちが普段仕事をしていても思うことですが、自分が今所属しているコミュニティを意識するのはすごく大事な事だと思います。

小人の国と巨人の国、主人公の所属するイギリスで使用されている言語が全く違うので話が通じなかったりしたのはとても写実的だと思ったのですが、300 年前のイギリスでは日常的によくあったと思われる挨拶代わりに手にキスをするという動作が共通して出てきていたのはちょっと残念でした。言うまでもないことですが日本には古来からそういう文化はありません。全くつながりのない世界観のはずなのにこの手にキスをするというマナーが共通しているのは不自然です。また、羊や牛といった家畜がその国のサイズで登場してきて同じように飼われていたというのも少し残念に思いました。この辺りは筆者がイギリスの慣習というシガラミから逃れきれなかった部分ではないかと考えます。

浮遊する島に関してですが、今までの流れと異なり島からすぐ出てしまうのは意表を突かれました。浮遊する島の名前がラピュタなので天空の城ラピュタのような神秘的なものをイメージしていたのですが、これも実際は異なりました。地上に降りてからも話はいくつか続くのですが、この章はあまり印象には残りませんでした。

最後の馬の国ですが、人間と馬の立場が逆転しているというところがとても面白く、実はガリバー旅行記の話の中で一番良くできているのではないかと感心しました。現実世界では人間の価値は知性から成り立っているという前提があり、もし馬の知性が人間と同等であったとしたら、という仮定からなる世界観の構築がうまくいっているのではないかと思いました。

全体を通してみると、そもそもの主人公の常識が 300 年前のイギリスをモデルとしているだけあって所々現代の日本の感覚とは幾つか差異がある部分があるのでそこは想像を働かせる必要がありますが、全体的にとても読みやすい作品です。また、ちょうどいい部分で訪れる国が変わるのでそこで前回の話との対比をさせて読むのが面白い作品だと思いました。

書いてみて (読書感想文を書いた感想文)

上記を計測してみたら 1,150 文字 であった。 新聞社説より長く書かなければならないのはちょっと大変そうだな、という想像に反して本を読み返すことも特にせずに割と苦もなく書けてしまった。 これが原稿用紙 5 枚の場合は 2000 * 0.8 = 1,600 文字埋めなければならないが、あと 450 文字くらいそんなに苦労せずに増やせそうである。

私は年齢として既に 40 歳手前であり、奇妙な表現ではあるが「40 歳のボキャブラリーになるための特殊な訓練」などは受けていない。 読書感想文なるものも学生時代以来書いていなかった。 それでもこれだけ書けてしまうのだから驚いた。 直接的に関係がなくても普段の仕事だったり、この日記を毎日書いたりなどの一つひとつの積み重ねが効いているのだなと感じた。

それにしても「原稿用紙 3 枚」とかいう単語を聞くと未だに学生時代の苦労を思い出してウッ、と思ってしまうのが何とも言えない。 原稿用紙 3 枚と言うと結構分量がありそうだが、実際ブログで文字に起こしてみると 960 文字というのは意外と少ない。 ちなみにこの Blog の文字数の平均を取ってみたが 997 文字だった。 実際は Markdown の記号 (この Blog は Markdown 記法で記述できるように実装されている) やプログラミングコード例なども含まれるので正確ではない。 恐らく 800 文字程度が正しい平均値だろう。 つまり私はそもそも日常的に毎日原稿用紙 2 ~ 3 枚程度の文章は書いているということだった。

ちなみにこの Blog で今のところ一番文字数が多い記事 (プログラミングの記事はコードを含むので除く) はセンターフォーハンバーガーズとビーナスラインツーリング 2 日目だ。 5,320 文字ということで原稿用紙 16 枚分 (400 * 16 * 0.8 = 5,120) にあたる。