実用の観点から QWERTY には敵わない
2 ヶ月近く Colemak を練習しタイプウェル英単語総合 XJ を取得するまで成長できたのだが、思うところがあって使用を止めることにした。 Colemak は素晴らしい配列で、特に TypeRacer のような純粋な英文を打つと運指が非常に滑らかになる。 英文を日常的に書く方には最適な配列と言えるだろう。
だが、あくまで私の日常的な使用による観点で言うとやはりデメリットの方が大きかったのも事実である。 以下、今後の参考までに書き留めておく。
かな系配列のように緊急時の代用が効かない
これは Colemak を始める前から大体分かっていたことではあるが、生活の中では残念ながら Colemak を使用できない環境での打鍵を強いられることがある。 その時にどうキャッチアップするのか、というのが最大の課題となった。
残念ながらこの短い期間の間にそういう機会がそこそこ発生してしまった。 それも仕事でいきなり呼ばれて「打て」というわけである。 QWERTY はキーボードに打刻がありその通りに打てばいい配列なのだが、日常的に打っていないと打鍵スピードが全く足りず話にならないという事になった。
これが月配列の場合は「仕方がないので QWERTY ローマ字で打とう」ということで、いつもより打鍵が遅くてもとりあえず必要な打鍵スピードは出せたはずである。
スマホのソフトキーボードは QWERTY から変更できない
これは全く想定していなかったのだが Android の Google 日本語入力のアルファベット配列が QWERTY であり変更できない。 「ソフトキーボードなので物理キーボードとは違うだろう」と思ってしまうかもしれないが、意外と打鍵位置で覚えているもので QWERTY を日常的に使っていた時よりタップのスピードが落ちてしまった。
英語版のキーボード (Gboard) であれば Colemak の設定ができたのだが、そのまま日本語が打てないのでいちいち IME を切り替えなければならない。 これでは実用に耐えない。
ショートカットキーが QWERTY 前提で組まれている
各種ショートカットキーが QWERTY 前提で組まれているところがあり、アルファベット配列を変更してしまうとその操作感が崩れてしまう。
勿論 Colemak はその辺りの事もある程度は考慮されており Z
, X
, C
, V
の位置はあえて QWERTY と同じにしてあるのでそれぞれ Ctrl
キーと組み合わせたショートカットは問題なく使用できる。
だが、私の場合は Vim というエディタで問題が出た。
Vim の多くのコマンドは慣れることが出来たのだが、最後まで hjkl
でのカーソル移動が慣れなかった。
Colemak だと K
と J
のキーが移動方向と逆に配置されており、慣れの問題といっても全く直感的でないので最終的にはカーソルキーを使い始めてしまった。
つまり Vim に限って言えば QWERTY の時より操作感が落ちてしまったのである。
ちなみに .vimrc
を書き換えて対処する方法も知っていたが、それだと SSH でサーバにログインした時に .vimrc
が使えなくて困る。
サーバ側の .vimrc
を書き換えてしまうと他の作業者が困る (同一ユーザを使いまわしている場合)。
プログラミングでは英文のタイプが快適でもあまり変わらない
プログラミングでよく出てくるキーワードを打っても Colemak は快適ではあったのだが、今時の IDE (統合開発環境) やシェルでは最初の 2, 3 文字さえ打てば候補を出して補完することが可能だし、適宜コピペで整形して作っていく場面も多いのでそもそも全てのコードをタイピングすることはない。
そもそもプログラミングではタイピングしている時間より動作確認や考えている時間の方が長い。 プログラミングを速くする目的でのタイピング練習はほとんど効果がない。 プログラミング言語やフレームワークの勉強をしたほうが余程速くなる。
2 ヶ月近く練習しても顔を出す QWERTY
Colemak を 2 ヶ月近く練習して、各種タイピング練習をしている際は QWERTY の記憶は全く顔を出さなくなったのだが、仕事でコマンドを打ったり URL を打ったりする時に無意識で打っていると QWERTY の位置のキーを叩いてしまいミスしてしまうことがあった。 これはその人がどの程度の期間その配列に触れていたかにもよるとは思うが、私が QWERTY のタッチタイピングを覚えたのは大学生の時なので 20 年近く使用していた。