午前と午後の部で分けて開催された

本日は NCS 主催の初心者・初級者向け大会であるチェスチャレンジ 3 の日だったので参加してきた。 最初は午前だけの大会だったのだが 16 名の定員がすぐに埋まってしまうほどの大盛況だったため後から午後も行われることになったようだ。 私はせっかく行くのだから、と午前も午後も申し込んでしまった。 というわけで、本日 15+10 戦を 6 戦行ったのでその自戦記をまとめておくことにする。

改めて書くが NCS が開催しているチェスチャレンジのシリーズのターゲットは公式に以下のように記載の通りである:

本格的なチェス大会に不慣れな方のための、初心者、あるいは初級者(NCSレーティング1400未満)限定大会です。まだルールがよくわからない方こそ大歓迎です。

強欲に午前と午後両方参加しておいて何だが、明らかに初心者とはいえない私がいくら参加資格を満たすからといってガチで対局するのはやはり場にそぐわない気がしてきた。 アービターの方も会場内で勝ち負けなど気にしないでいいですからと繰り返し言っていた通りだ。 本来はチェスの OTB はこのような感じであって、勝敗は抜きにして対面で人と対局することが楽しく、意義があることなのだということを感じるための大会だと思う。 さすがに次回からは遠慮して、もう少し本格的な大会の方に少しずつ参加していこうと思う。

ちなみにバイクで帰宅中にネズミ捕りに遭い、違反切符を切られた (二輪車通行禁止違反: 6,000 円)。 自分の業の深さを感じた。

Part1 1R アレヒン・ディフェンス・スカンジナビアン・バリエーション

初戦は外国人の方で、会話が交わせないので指し慣れている方なのかよく分からなかった。 しかしゲームを開始してみるとチェスクロックも押し慣れない様子だったので、恐らくまだ経験が浅い方だったのだろう。 いつものアレヒン・ディフェンス・スカンジナビアン・バリエーション。 3. d3 と消極的に守ってきたのでクイーン交換・キャスリング放棄を強制する作戦に出た。 思惑通りに進み黒指しやすい展開に。 その後はクイーンがなくなったので地味な駒展開が続いたが 12... Nd4 と中央に繰り出したあたりが岐路となった。 13... Bxd4 で c3 のナイトをピンし、そのお陰で 14... Nxe4 とポーンアップ。 15. Be3!? は c3 のナイトのガードが外れるミス。 後は素直に駒得を重ね勝利した。

Part1 2R ルイ・ロペス・モーフィー・ディフェンス

2 戦目はそれなりに腕に覚えがありそうな女性の方だった。 実は今回の 6 戦中最も劣勢にされた試合で、最後の方に詰めが甘くて助かったが粘り強く指されていたら間違いなく負けていただろう。 序盤は素直なルイ・ロペス・モーフィー・ディフェンスだったが、明らかに事前に勉強されている感じで定跡通り、指し手も速かった。 実は 13... c6? が緩手で私も対局中にビショップの道を止めるポーンプッシュが疑問だったが、それに付け込めず。 逆に 16. c4!? などという致命的なミスをしてしまう。 指した後に気づいたが時既に遅し。 普通に 16... exd4 とされポーンダウン。 未だにこういう基本的なミスをしてしまうところに自分の詰めの甘さを感じる。 このポーンダウンによって相手のセンターが手厚くなってしまい、どんどん劣勢を拡大されてしまった。 しかし何とか粘り強く指していたところ 26... f6? で少し希望が見えた。 f ポーンプッシュというのは細心の注意を払わねばならず、今回のようにまだクイーンが残っている時はそのダイアゴナルからのチェックを交えて技をかけることができる。 27. a4 から乱戦に持ち込もうとするも 27... Bc6 と冷静に受けられる。 これはいよいよ苦しいかと思っていたが 30... c3 を見てこれだ!とチェックを入れる。 ルークでパスポーンをとめてあわよくば敵陣に侵入して逆転を狙う構えを見せた。 このあたりで相手の方も時間が残り少なくなっており 33... d3!? が致命的なミス。 そこからポロポロとポーンを掠め取り持ち返す。 その後はルークとクイーンを敵陣に入れて揺さぶりをかけたら、何と 1 手メイトを見逃すミス。 40. Qxg7# となった。

Part1 3R シシリアン・ディフェンス・アラピン・バリエーション

3R は若い学生らしき方。 シシリアン・ディフェンスで来たので十八番であるアラピン・バリエーションで迎え討った。 そうしたら 2... d5!この人、できる!と思った (d5 は知らないとなかなか指せない)。 12. Ne5 と急所にナイトを据えたあたりで試合中はまずまず指せる展開だと思ったのだが、解析にかけてみると誤差程度だが若干黒良しだった……。 18... g5!? のフォークは実は試合中に気づいておらず直後にしまったと思ったのだが、よくよく考えてみるとクイーンとビショップが近くにいるしキャスリング陣形をスカスカにできるのでピースダウンでも戦えるのでは?と思い直して 19. Nxg5! と応手。 20. Qxg5+ は指したくなる手だが実は確実にピースアップができる Bxg5 の方が良かったようだ。 29. Qxe6+ のあたりでメイトがあるんじゃないか?と思うも、既に時間が残り少なくなっており読めず。 最終的にはクイーン交換を強制し、確実な勝ちを目指した。 時間切迫してから棋譜をとるのをやめてしまったが、この後相手の方の粘りもすごくて大熱戦となった。 最後は私が何とか勝ちを決め、優勝することができた。

Part2 1R ルイ・ロペス・モダン・シュタイニッツ・ディフェンス

午後の部の初戦は指し慣れていなさそうな女性の方だった。 対局前に言葉を交わして不慣れであることが分かったのだが、そうといっても手を抜くわけにはいかなかった。 せめてもの、というのも競技者の姿勢としてどうかと思うのだが、今回はアレヒン・ディフェンスでなく 1... e5 でルイ・ロペスを迎え討つ形にした。 ただこの方は指し慣れていないといってもちゃんと時間を使って考えれば問題ないようで、実際最後の方になるまで形勢にほとんど差はつかなかった。 結局最後の方は私のほうが時間に余裕がある状態で相手の方の時間が切迫し、17. g3? とキャスリング陣形のポーンを自ら突いて 18. Nh4!? とされたのですかさず 18... Bxh4 としてキャスリング陣形を乱しにいったところで相手の方の時間が切れてしまった。

余談だが試合後に聞かれてもいないのに g3? と Nh4!? のプランのまずさについてつい口出ししてしまった。 後になって思い返すとこれ自体正直良くなかった。 お互い競技者の姿勢として検討しているのであれば良いのだが、そもそも今回の大会の趣旨は勝ち負けよりも大切なものを見つけることにあると思うので、わざわざ明らかな敗着を指摘することなど余計以外の何物でもない。 これに関しては本当に申し訳なかった。

Part2 2R シシリアン・ディフェンス・アラピン・バリエーション

外国人の若い方。 初戦でレーティング 1100 の方に勝っているのを事前に確認していたので、これは油断ならないぞ、と思って臨んだ。 またシシリアン・ディフェンスにされたので今回 2 回目のアラピン・バリエーションにしたらまた 2... d5! にされた。 やはりこの人はできる、と思った (余談だが試合後にサインする時に棋譜用紙に Alapin Variation と書いてあったのでやはりよくご存知だったようだ)。 しかし 4... Nxd7? としてきたので普通に 5. exd5 とポーンアップ。 その後このポーンは取り返されてしまったのだが、今思えば 6. c4 とか 6. Qb3 などと指してちゃんと得したポーンを守ればよかった。 意固地に守るのは筋が悪いと思って放棄してしまったのだが、そういうことを気にするほうが良くなかった。 その後は割と普通に進んだが 15... Qb6? あたりが岐路となった。 16. Rxe7 と踏み込めるかどうかを慎重に読んでから踏み込んだ。 バックランクメイトに注意を払いつつ 24. R7e2 とガッチリ守ったら 24... Qxe2!? の応手。 これは恐らく a6 のクイーンで取れることをうっかりされたのだろう。 駒を清算しツーポーンアップとなった。 この後 39. Rc1+ でちょっとしまったと思ったのだが、ルーク合いしてポーン損してもレースで勝てることを読んでその変化に持ち込んで、最後は相手のポーンをもぎ取って昇格を確実なものとして何とか勝った (時間切迫したので棋譜の記入はやめてしまった)。

Part2 3R ルイ・ロペス・モーフィー・ディフェンス

3R は外国人の小学生、恐らく低学年だろう。 小学生、それもこんなに小さい子どもと対局するのは初めてだったのだが、2 勝した私と当たるということはこの子も 2 勝しているということで、かなり強い。 全く油断できない。 ということで対局したら、その強さの意味が分かった。 ほとんど時間を使わない。 それなのに応手がかなり的確で強い。 この子は絶対に将来化ける。 そう思いつつ指していたら 14. Qa1 の局面となり f6 へのナイトのピンを間接的に活用して c3 - d4 (b4) で技をかけられそうだと読んだ。 そのプランを実行しに行ったら先にクイーンを避けて守られたためビショップを切り 17. b4 として a8 のルークを素抜くことを考えた。 そうしたらこれもノータイムで 17... Bb6 と守ってきて本当に強いと絶望した (相手は全然時間を使っていないのに、こちらの時間は残り少ない)。 しかし粘り強く技をかけにいったら、22... Rxa5!? でピースダウンのミス。 すかさず交換し優位を手にしたが、こちらの時間がもう残り少なく苦しい。 何とか勝ちきれるのではないかとまた粘り強く指していたら 33. Qd3+ に対して 33... Rc4!? のチェック放置。 即座にイリーガルムーブ!と抗議したが、実際は時計を止めてから指摘するのが筋だった。 止めずに指摘したのでそのまま時間が流れたが、何とか時間は切れず 2 分追加された。 タッチアンドムーブなのでルークを動かす手でチェックを止めなければならず、強制的に 33. Rf5!? と防ぐ羽目に。 本当はここで 34. g4!34. Nd4! の勝ちがあったのだが不慮の事故に私も焦って気づかず、そのまま 34. Qxc3!? などとしてしまう。 しかし、この後棋譜を取るのをやめてしまったが、何とかクイーンとルーク、ナイトを敵陣に送り込んで最後はメイトにすることができた (バラバラにしてクイーンで縛ってキングをサポートに向かわせてのメイト)。